心が痛い

私たちの生存そのものが、多くの動物の犠牲の上に成り立っています。
「いただきます。」とは「あなたの命をいただいて私は生きています。
あなたの死に感謝します。」との意味だと思います。

私たちの食べ物----私たちは多くの命を毎日いただいています。
私たちの医薬・医療---私たちの健康は多くの動物の犠牲の上に維持さ
れています。
極論すれば、介助犬、盲導犬等の使役犬も、人間の犠牲者なのかもしれ
ません。
また、私たちの愛犬・愛猫達も、多くの犠牲者の上にその生が保障され
ています。
愛犬・愛猫のフードも、もしかしたら、東南アジアの人たちの犠牲の上
に成り立っているものなのかもしれません。
私たちの健康な愛犬・愛猫の陰で、犠牲を強いられる多くの犬猫はたく
さんいます。

私は、毎年多くの犬猫を保護し、里親様にその犬猫達の命を託す活動を
しておりますが、私たちの活動は常に多くの犬猫の犠牲の上に成り立っ
ているという自覚がいつも心の底にあります。また、私の生そのものが、
多くの命の犠牲の上に成り立ったものであると常に自覚しています。
私の心の底には、「生きていてなにか申し訳ないような気持ち」が常に
くすぶっているような感じがあります。
これは、私たちにあるカルマ＝業を、常に感じていると言うことかもし
れません。

私たちの存在そのものが罪深いのですのですから、根源的には、私たち
の行いは、正義なのではありません。
愛護活動をしている人たちは、往々にして、その活動の正しさ＝正義故
に、他者に厳しい人が多いようです。
「命」を語る私たちは、往々にして「不遜になりやすい」ですね。
(反省！反省！）


比喩的な言い方しか出来ませんが、、、、
「私たちの手は、全て汚れているのです。」
「命」を語り、「命」を育む行為は、１００％の正義ではありません。
私たちが推奨する避妊去勢手術のお勧めも、唯単なる現状を変革する対
処法であり、１００％の正義ではないはずです。

私たちが生きていく上に犠牲になっている多くの命----。
私たちにできる事は、私たち人間の犠牲者である命を大切に敬うこと。
その敬いの心を忘れずに、社会に対するということだと思います。


「痛み」を感じる心があれば、、、、
動物実験をしなければならない人達は、目の前の実験動物の痛みに心は
痛み、その痛みを和らげる方法を取れるでしょうし、獣医師は、目の前
の畜患の痛みに心は痛み、声なき声に耳を傾けることが出来るでしょう。
また、私たち愛護活動家と呼ばれる人達も、私たちの行いは１００％の
正義ではないと気が付き、謙虚な活動へと変化していくでしょう。


誰もが、社会の枠組みの中で生きている以上、「資本主義社会の進歩」
から、退散でも、しない限り、いくら動物実験反対と叫んでも、動物実
験はなくならないでしょう。

あなたが、あなたの立っているその社会の枠組みの中で、少しの変革を
実行することが、現状の社会を変える第一歩です。

あなたの正義があなたの実行力を生み出します。
でも、シェイクスピアではありませんが、慈悲（痛みを感じる心）のな
い正義ほど、醜いものもないように思います。


心が豊かであることは、とっても難しい・・・・
ですね。